アップセルって何?分かりやすく事例を説明/意味を理解し顧客単価を上げよう!
「アップセル」の意味は?
「アップセル」とは、製品を検討している顧客や、以前に購入したことのある顧客にアプローチする営業手法のひとつで、現在検討中のものより高額な上位グレードの製品やサービスに変更してもらい、お客様1人あたりの単価をアップさせることをいいます。
製品を購入しようと、お財布を開いている状態の顧客は、提案されるとついつい興味を抱き、受け入れやすくなります。
「アップセル」の事例
・家電量販店で5万円のカメラの購入を検討していた顧客へ、さらに写りが良く多機能の8万円カメラの購入を促す。
・無料で利用できるスマートフォンアプリを有料版へ勧める。
・年会費無料のクレジットカードからゴールドカードに変更を促す。
・マクドナルドの17時以降限定で通常価格にプラス100円を支払うと、レギュラーメニューのバーガー類のパティが2倍にできるというキャンペーン。
・100円ショップのお菓子売り場やスーパーなどで「何点以上購入すると割引」となる販売方法。
また、よくに似た手法に「クロスセル」という手法があります。
こちらは、ある製品を購入したお客様へさらに別の製品を提案する営業手法です。
マクドナルドでハンバーガーを購入した際に、「ポテトもご一緒にいかがですか」とよく提案されます。
これが「クロスセル」です。
「アップセル」と「クロスセル」の違いは?
「アップセル」と「クロスセル」の違いは、2点あります。
アプローチタイミングの違い
アップセル:「製品の購入を検討しているタイミング」
クロスセル:「購入の意思が決定したタイミング」
提案内容の違い
アップセル:「より高額の製品を提案する」
クロスセル:「関連製品を提案する」
なぜ「アップセル」が必要なのか。
「売上」とは、「顧客1人あたりの単価」×「顧客の総人数」で計算できます。
つまり、「売上」をあげるためには、「顧客の総人数」を増やすか、「顧客1人あたりの単価を上げるか」の2パターンしかありません。
以前は、売り上げを伸ばすために顧客の総人数を増やし、新規顧客数を伸ばすやり方が主流でした。
しかし現在の日本は、少子高齢化による人口減少や、多くの市場が成熟しきっており、競合が多く、製品やサービスの差を明確にすることが困難な飽和状態になっています。
このような状況では、新規顧客の獲得が難しく、また莫大なコストもかかってしまうため、「顧客1人あたりの単価」をいかに上げていくか重要になります。
そのため現在では、新規顧客を獲得し続けるよりも、以前より購入してくれている顧客の満足度を高め、長期的にお店やサービスを利用してもらうことが大事であると考える企業が増えてきました。
「アップセル」は具体的どうすればできるのか?
「アップセル」によって売り上げを向上させるためには、どのような手法があるかを説明していきます。
トライアル(お試し版)を用提供する
無料サンプルの配布や、500円トライアル価格など、顧客が気軽に注文できる製品を用意する。
その後、購入した顧客に「購入者限定」でお得なコースに申し込みができるとメールや電話などで「定期購入」を勧める「引き上げ」と呼ばれるコミュニケーションがあります。これは、「化粧品」や「健康食品」などでよく使われます。
「グレードアップ」を提供する
先ほどの例であったマクドナルドの「パティが倍になるキャンペーン」や、クレジットカードの利用者が年会費のかかるゴールドカードへ「グレードアップ」することで、ポイントがもらえるといったキャンペーンを行い、より高グレードな製品への乗り換えを促します。
まとめ買いで割り引きや特典をつける
100円ショップのお菓子売り場や、スーパー、通信販売などでもよく使われる手法です。
製品を一定数購入したら、割引や送料無料、サンプルがもらえるなどの特典を得られるようにし、購入数量が増えるように促します。
「アップセル」を行う上で気をつけること
「アップセル」を行う上で、気をつけなければいけないことは「グレードアップの内容」「タイミング」の2点です。
グレードアップの内容
顧客を確実に「アップセル」に誘導するには、より顧客がお得感やメリットを感じる内容であることが重要です。
そして「グレードアップ」することでどういう価値が得られるのかを、分かりやすく説明できなければいけません。
タイミング
アップセルを仕掛ける「タイミング」も、とても重要です。
もっとも効果的な「タイミング」は、顧客が製品やサービスを購入した直後、もしくは購入するという意志が固まりつつあるときだといわれています。
上記のタイミングは、顧客は製品への期待感がもっとも高まっているタイミングで、お得感・メリットがある提案をされると、受け入れやすくなります。
「アップセル」を実施する際の注意点
「アップセル」はタイミングを間違えず、また顧客のニーズと合致する内容の「グレードアップ」を提案すれば大きな効果を発揮します。
しかし、このタイミング間違えてしまうと、「押し売り」と思われてしまう可能性もあります。
下記の点に注意しながら、慎重に行うようにしましょう。
適切な提案を行う。
検討中の製品とあまり関係ないものを提案してしまうと、顧客との信頼関係が壊れてしまい、購入自体をやめてしまう可能性もあります。
顧客は理解することが難しかったり・購入検討中の製品と関連性のない提案をされると、購入自体を「面倒くさい」と思うようになってしまうためです。
相手が必要としているものを見極め、顧客が検討中の製品・サービスの延長線上にあるものを、分かりやすく提案するようにしましょう。
売り手側を重視するのではなく、顧客を意識した内容にする。
売り手側を重視した「アップセル」を行うと、顧客はそれを直感的に感じ取り「押し売り」と認識してしまいます。
まずは顧客の視点に立ち、どういう製品やサービスを求めているのか、どのようなメリットがあれば購入したり、「アップグレード」したいかと考えることが大切です。
まとめ
「アップセル」とは、製品を検討している顧客や以前購入した顧客に、現在検討中のものよりも高額な上位グレードの製品やサービスに変更してもらい、お客様1人あたりの単価をアップさせる営業手法です。
「売上」とは、「顧客1人あたりの単価」×「顧客の総人数」で計算でき、少子高齢化と市場の成熟しきっている日本では、「顧客1人あたりの単価」をいかに上げていくか重要になります。
そのため、購入してくれている顧客の満足度を高め、長期的にお店やサービスを利用してもらうことが大事です。
「アップセル」の方法は、下記3つの手法がある。
①トライアル(お試し版)を用提供する
②グレードアップを提供する
③まとめ買いで割り引きや特典をつける
つまり「アップセル」は、顧客が製品やサービスを購入した直後、もしくは購入するという意志が固まりつつあるタイミングで、顧客が必要としているものを見極め、顧客が検討中の製品・サービスの延長線上にあるものを、分かりやすく提案することです。
収益力強化のために行うアップセルですが、うまくいっている企業ほど、顧客がお得感・メリットを感じる内容となっています。
決して「押し売り」ではなく、顧客により魅力的に映るよう、製品設計・販売トークを作り込んでいます。
お客様と販売者が、双方にメリットのある関係を築きながら「アップセル」を活用していきましょう。
