エビングハウスの忘却曲線とは?実は間違っていた意外な真実

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エビングハウスの忘却曲線

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エビングハウスの忘却曲線が示す節約率と時間の関係

「エビングハウスの忘却曲線」(Ebbinghouse’s forgetting curve)とは、ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウスの研究によって明らかにされた、いったん記憶した時点からの時間と節約率の関係性を表したグラフのことを指します。

「節約率」という概念はあまり一般的な言葉ではないために用語の解説からしていきます。

 

節約した時間・回数=最初に覚えるのにかかった時間-再び覚えなおすまでにかかった時間・回数

節約率=(節約した時間・回数)÷(最初に覚えるのにかかった時間・回数)

 

具体例を示すと、最初に新しい言葉を完全に覚えるまでに10分かかったとします。
そして完全に覚えてから
1時間後にまた覚えなおすと7分かかったとします。

この場合、最初に完全に覚えるよりも1073分だけ時間を節約したことになります。
節約率を計算すると
3÷1030%ということです。

縦軸に節約率、横軸にいったん学習が終わってからの時間をとって忘却曲線を描くと、学習をいったん終わった段階から節約率は急激に減少します。

その減少量は時間の経過により逓減するという指数関数のような曲線を描きます。

 

具体的な調査結果としてはいったん学習した段階から20分後における節約率は58%、1時間後には節約率が44%、1日後には34%、2日後には27%、6日後には23%、そして1ヶ月後には21%と推移しています。

 

つまり、20分後には42%を忘れ、1時間後には56%を忘れ、1日後には66%を忘れ、2日後には73%忘れ、6日後には77%忘れ、31日後には79%忘れるということです。

エビングハウス忘却曲線

エビングハウスが時間と節約率に関する実証実験の結果を発表する前は、人の記憶について実験により何かを証明すること自体不可能だというのが主流でした。

フランシス・ベーコンやエマニュエル・カントといった哲学者が、人間観察の結果による記憶の説明しかできなかったため、この実験結果が与えた世間への影響は非常に大きなものとなりました。

現在でもエビングハウスの忘却曲線は、ビジネスや教育、心理学などの多岐にわたって大きな影響を与えています。

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エビングハウスが行った実験について

もともとエビングハウスは記憶が時代背景から受ける影響を検証する目的で実験を行っていました。

1度目の実験は1878年から1879年にかけて、2度目の実験に関しては1度目の実験の影響を排除するために、3年間のブランクを空けた1883年から1884年にかけて行われました。

このときに行われた実験は、まず「sal」や「wug」というような「子音」、「母音」、「子音」の組み合わせによる2,000個以上の単語のカードが入った箱を準備しました。


被験者にはその箱から
30枚ほど(被験者によってバラバラ)取り出して、メトロノームの音に合わせて読み上げて記憶させます。

取り出したカードを間違えずに2回暗唱できたらその単語を覚えたということで学習完了、手持ちのカードをすべて覚えていきます。

全部のカードを覚えるまでの時間・繰り返した回数を記録し、そこから20分後に再び全部のカードを覚え、それまでの時間・繰り返した回数を記録して節約率を計算します。

最初にすべて覚えてから20分後、1時間後、1日後、2日後、6日後と同様の作業を繰り返します。その結果の数値が先述の節約率です。

 

この実験では無味乾燥なものを覚えた場合によるものなので、例えば意味のあるものを覚える場合や、何かと関連付けて覚える場合など、条件や工夫次第で節約率は高まるものと思われます。

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エビングハウスの忘却曲線に関するよくある誤解

この実験結果が発表されたのは100年以上も前のことであるため、様々な形で伝承される中で誤解されているものが散見されます。

エビングハウスが提唱した忘却曲線の縦軸についてですが、「節約率」の概念が使われています。

「いったん学習してから再び覚えなおすまでにかかる時間や回数は、最初の学習から時間が長ければ長いほど指数関数的に増える」

ということを、「節約率」の概念を用いて説明しているというものです。

 

いったん学習した内容は数時間以内で一気に忘れてしまうということではありません。

エビングハウスは「記憶量」の推移についてまで触れていないという点をご理解ください。

一般論として考えてみればごく当たり前のことですが、昨日何かの勉強した、何かのドラマを観たというようなことを次の日になったらほとんど忘れてしまっていたというのなら、日常生活を送ること自体非常に苦労することにもなりかねません。

 

さまざまな書籍やネット記事でもエビングハウスの忘却曲線について紹介するものを見かけますが、それに記載されている忘却曲線によれば縦軸に「記憶量」、横軸に「いったん学習してから覚えなおすまでの時間」をとっているケースが非常に多いのです。

この点は誤解のないように気を付けていただきたいと思います。

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エビングハウスの忘却曲線の考えを利用した学習アプリを紹介

学習関連のアプリの中には忘却曲線の考えに基づいた、暗記の手助けをしてくれるアプリが開発されています。


その名前は「忘却曲線で暗記アプリ
-reminDO」といいます。

例えば英単語や英熟語、漢字の読み書きだけでなく、Twitterやブログで紹介されている名言、ウェブページや画像その他、日々の生活の中で覚えておきたいことをこのアプリに登録しておきます。

そうするとアプリの方で記憶の定着に必要な復習の時期や回数を自動計算し、自分が忘れかけた時期にアプリから通知が来ます。

それによって復習すれば効率的に記憶ができるようになるという代物です。

なかなか机に向かって勉強する時間が取れないけど勉強はしなければいけない人や、何の脈略もないものを暗記するのが苦手という人には非常に使えるツールだと思います。

参考ページ https://apps.apple.com/jp/app/%E5%BF%98%E5%8D%B4%E6%9B%B2%E7%B7%9A%E3%81%A7%E6%9A%97%E8%A8%98%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AA-remindo/id1058865810

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エビングハウスの忘却曲線の考えを利用したビジネスでの例

昔からよくあるのはテレビCMが挙げられます。

ある決まった時間にこのCMを見かけるといった経験があります。

これは人々が記憶の中から忘れかけているときにCMを流すことによって、自社そのものの認知、サービスの認知をさせています。

近年ではネットの発達により、企業のサイトにアドレスを登録したり、企業のTwitterFacebookなどに登録したりと、企業が個人の情報を何らかの形で取得することでメルマガや企業の情報を積極的に知らせるという形で、SNSをうまく活用したマーケティング戦略が行われています。

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エビングハウスの忘却曲線に関連した学説

心理学における「エビングハウスの忘却曲線」と関連性のある用語として「ラッセルの復習曲線(ラッセルの効果的学習法ともいう)」と呼ばれるものがあります。

ラッセルが提唱している効果的学習法ですが、ひととおり学習してから20分以内に復習することで完全な記憶の再現までの時間が短いために、学習してから20分以内に復習します。


そしてその
1日後、1週間後というように、最初の学習からだんだん日数を空けて復習することによって短期的な記憶が長期的な記憶へと変化するというものです。

学習し始めてからの経過時間と記憶量との関係をグラフにして表すと、いったん学習してから記憶の落ち込みが始まり、復習したタイミングで記憶量が復活します。

これを何度も繰り返していくと、復習した後の記憶の落ち込む量が少なくなり、のこぎりの歯のようなギザギザした曲線が描けます。これを「ラッセルの復習曲線」と表現しています。

普段の生活の中でも、一度新しいことを学習したとしても、よほど印象に残っている事でもなければ数日で忘れてしまいます。

そのため、ラッセルの復習曲線という言葉を知らなくても、定期的に復習することの必要性は理解しやすいのではないかと思います。

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最後に

エビングハウスが行った記憶に関する実証実験にはさまざまな問題点があることを指摘されています。

しかし日常生活の中でも、一度覚えたことをまた復習するまでに時間を空けると覚えなおすのに時間がかかることは肌感覚として理解できることから、一般的にも広く認知されるようになったものと推察されます。

この記事が特に学生の方や何らかの資格取得に向けて勉強されている方にとって、効率的な復習のタイミングを考えるうえでの参考になれば幸いです。

 

 

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