AISAS(アイサス)の法則とは?
消費者の購買プロセスを理解しよう!
AISASの法則とは何?
AISAS(アイサス)の法則とは、2005年に大手広告代理店の電通によって提唱された、消費者が商品を認知してから購買に至るまでのプロセスをモデル化した消費者行動モデルの一つです。
どこでも見たことも聞いたこともない商品を突然買う消費者はいないと思います。
どの消費者も商品を購入する前に、その商品をTVCMでみたり、友達からの話を聞いたり、自分で検索した時に引っかかったり様々な前段階の行動を行っています。
この行動プロセスを一般化したものが消費者行動モデルで、購買行動モデルと呼ばれることもあります。
インターネットが普及以降の行動プロセスをモデル化したものがAISASです。
AISASの意味とは?
インターネットが普及以降の消費者行動を規定したモデルであるAISASの5つの頭文字は以下のようになっています。
・A:Attention(認知・注意)
・I:Interest(興味)
・S:Search(検索)
・A:Action(購買)
・S:Share(情報共有)
それぞれの要素が、どのような行動であり、どのようなプロセスに関係しているのか確認していきましょう。
Attention(認知・注意)
まず、消費者は商品やサービスなどを認知することから始まります。
私たちは、様々なメディアに囲まれている現代において、多種多様な方法で商品を知ることができます。
例えば、夕方のTVで放送されたCMを見て認知することや、インターネットで検索していた際に見た広告、スーパーでお買い物をしていた時に見た宣伝かもしれません。
どのようなきっかけであれ、まずは商品やサービスを認知することからスタートします。
以前までAttentionには、マスメディア(TV、新聞、雑誌など)が大きく影響を及ぼしていました。
しかし、現在スマートフォンやインフルエンサーの台頭などによりマスメディアは以前ほどの影響力がなくなってきており、戦略次第で素早く認知を上げることも可能です。
Interest(興味・関心)
商品やサービスを認知した消費者が興味/関心を抱く段階です。
商品・サービスを認知しただけでは、この後のSearch、Actionなどには繋がりません。
消費者が興味/関心をもつことにより次の行動、最終的な購入までつながります。
Search(検索)
興味・関心をもった消費者は商品やサービスについて、口コミサイト、ブログやソーシャルメディアなどインターネット上で情報を収集するのがSearchの段階です。
情報を収集することにより、本当に自分が欲しいものなのか、他の商品と比べてお買い得か、など自分の中の判断を下し、購買するか否かを決めます。
インターネットが普及したことによりSearchという行動を消費者は行うようになりました。
Action(購買・行動)
インターネットで集めた情報をベースに、実際に消費者が行動をする段階です。
つまり、店頭やインターネットを問わず、商品やサービスを購入するのです。
この際に、購買をゴールとしていない行動、例えば資料ダウンロードなどの行動も、マーケティング戦略の設定により含まれる場合があります。
Share(共有)
商品やサービスを購買後に、消費者が実際に使用した体験談や感想を、TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSに投稿したり、口コミサイトに書き込んだりすることです。
この行動がまた新たな消費者のAttentionにつながったり、Searchの際の情報となったりします。
このように、インターネット普及以降のSearch(検索)やShare(共有)といった行動が視点に入っているプロセスが、AISASの特徴となります。
AISASを使った事例
AISASを知っていることにより、消費者の行動を想定出来るため商品設計やプロモーション企画などのマーケティング戦略を検討する際のフレームワークとして活用できます。
ここでは、例として「新型ファミリーカーを発売すること」を想定し、AISASのフレームワークで戦略を検討していきます。
A:Attention(認知・注意)
まずは認知を獲得するためには、消費者の目に留まるようにすることが第一です。
そこで、ターゲットとなるお父さんが、よく見るTV番組、新聞、ウェブサイト、通勤で利用する電車の広告などのメディアを検討した上で、広告出稿を実施して露出面を増やしていく必要があります。
また同時に、ディーラーでも特別なディスプレイをするなど、店に来た消費者の注意を惹く施策が必要でしょう。
I:Interest(興味・関心)
商品に関して認知したターゲットに対し、さらに興味・関心を持ってもらうためには、例えば新型ファミリーカーを所有していることでどんな毎日が過ごせるのか、どんな気分になるのかということがイメージできるようなTVCMを制作することなど、商品のさらなる情報をコミュニケーションします。
S: Search(検索)
例えばリスティング広告などを出稿し、ターゲットとなるお父さんが「ファミリーカー」などのキーワードで検索した際に、自社ホームページを閲覧するように誘導します。
そしてホームページ内にて、ターゲットが気になる車の広さ、価格、他のオーナーの体験談などの情報を載せて購入検討のための土台づくりをします。
また、ターゲットはこのタイミングで企業側が提示する情報以外にも、他社の車との比較、口コミなども同時に検索することが多いです。
A:Action(購買・行動)
実際に車を購入する際はディーラーへ訪れる場合がほとんどです。
このターゲットがディーラーを訪れた際に、懸念がある事を鮮明化し、購入を後押しできるかが重要です。
例えば、車の乗り心地は実際にどうなのか、という消費者に対しては試乗を積極的に勧める。
または、値段が少し高いと感じている消費者には割引等をオファーするなどして消費者のハードルを下げていき、購入へとつなげていきます。
S:Share(共有)
自動車を購入したお客様が、実際に家族でどんな場所に出かけて行ったのかなどを、SNSに投稿することを促進するプレゼントキャンペーンを実施したり、ホームページにオーナーの一言として格納したりすることで共有を促す施策を実施。
ここで共有されたコメントなどが新規消費者の購入を後押しする情報となります。
このようにAISASを活用することにより、商品のプロモーションのために何が必要なのか、どのような施策が必要なのかを明確にすることができます。また、実際の施策後もどの段階で何が良かったのか、何が悪かったのかが把握しやすくなるため、PDCAも行いやすくなります。
まとめ
これまでに説明してきたようにAISASの法則は、インターネットの時代に対応しており、消費者が当たり前になっているSearch・Shareなどの行動が考慮されているモデルです。
しかし、消費者行動モデルはAISASだけでなく、様々な種類があります。
たとえば、インターネットが普及する前の1920年代に提唱されたAIDMA、より深くSNSの影響を考慮したSIPS、スマートフォンやタブレットの普及により提唱されたAISCEAS、などです。
しかし、どのモデルが絶対に正しいというわけではなく、自社の状況を鑑みて正しいモデルを選ぶ事が大事です。
大切なのは、自社商品のカテゴリー、実際に使える予算、ターゲット層などの現状を考慮し、適切なモデルをフレームワークとして選択し、戦略構築に活用することです。
実際に成功している企業やキャンペーンはフレームワークに落とし込んだ時にしっかりすべてが機能しています。
成功事例を研究することも、今後の戦略構築にきっと活用できるでしょう。
モデルはただ構造化されているだけであり、それをどのように活用するかを考えていくことが重要になってきます。
